田舎モンがベンチャーで働く。

都内ベンチャー勤務予定の広島の学生が学んだ事を書きます。

売り上げ2倍に導いたスイスホテル南海大阪のマーケティング戦略

こんにちは。

大学の後輩が、Twitterで自分のブログの更新を見かけたら、ブログを覗いてくれてると聞いて、嬉しくなった昼下がりです。

 

今日の内容は、スイスホテル南海大阪のマーケティング戦略について、簡単にまとめたいと思います。参考文献の内容から、教訓を中心にピックアップします。参考文献は、前回のキッザニアのマーケティング戦略 - venture capitalで働かせて下さい。に引き続き『マーケティング基礎読本』です。

 

ec.nikkeibp.co.jp

 

スイスホテル南海大阪の2015年の売り上げは、3年前の売り上げから約2倍になった。そこには、3つのマーケティング戦略が隠されていた。

 

〜インバウンドをなぜターゲットとしたのか〜

1つめのマーケティング戦略は、ターゲット選定である。スイスホテル南海大阪はターゲット選定をする上で、自社の置かれている状況を3C(Customer/Competitor/Company)を軸に分析した。ターゲットをインバウンド(訪日観光客)とする前は、安い宿泊料金目当ての国内の団体客と個人客をターゲットとしていた。

 

Customer(顧客・市場)

  • 高い客室単価を見込めるビジネス客は、企業の本社や事務所が集中する、大阪市北側に集中していた。(顧客の特徴)
  • 訪日外国人観光客が増加しつつある。(市場の変化)

Competitor(競合)

  • シティホテルは、ビジネス客を狙って大阪市北側に集中していた。(競合の戦略)
  • ビジネス客中心で、個人客、なかでも訪日観光客の集客にまだ力を入れていない。(競合の穴)

Company(自社)

  • 大阪市南側で唯一の大規模シティホテルである。(自社プロダクトの質)
  • 関西国際空港が近く、観光地に足を運ぶのに不便はない。(市場変化への適性)
  • 旅行客が宿泊する傾向がある。(自社の顧客の特徴)

 

これらの3Cの要素を踏まえ、市場の変化自社の特徴を照らし合わせ、インバウンド(訪日観光客)をターゲットとし、市場を開拓した。

 

【得られる教訓】

  • 事業において3Cを分析するときには、その消費行動に基づいた分析の軸が存在する。(ホテル事業においては、Whereが分析の軸)
  • 市場における顧客の特徴を調査する。
  • 事業の市場の変化を調査する。
  • 競合の戦略を読み取る。
  • 市場の変化を念頭に置き、競合の穴を見つける。
  • 市場のにおける自社の特徴を見つける。
  • 市場変化への自社の適性を分析する。
  • 自社の顧客の特徴を調査する。
  • 3C分析をする事によって、今後の事業の方向性を決める事ができる。

 

〜営業担当を細分化する〜

ターゲットをインバウンドとした後には、待ちの姿勢を改め、市場開拓に乗り出した。訪日観光客に合わせて、販売ルートごと(必要があれば地域別にも分ける)に提携パートナーを明確に定め、そこに1人ずつ営業担当を配置し、密接な関係を築き、誘致に力を注いだ。販売ルートは、大きく分ければ、個人手配旅行と移動手段と宿泊がセットのパッケージ旅行の2種類がある。

 

個人手配旅行

  • OTA(オンライン旅行代理店:エクスペディアなど)

国内・海外ホテル予約・航空券・ツアー | エクスペディア (Expedia)

パッケージ旅行

  • BtoB旅行代理店(GTAなど)

GTA | ホーム

  • オペレーター(地域特化型旅行代理店)
  • 現地旅行代理店

 

以上のように区別し、それぞれに営業担当をつける。そして、密接な関係を作る事によって、それぞれのサービスにおいて、スイスホテル南海大阪を優先的に誘致してもらう。営業を細分化する事によって、販売ルートをより太くする事ができる。これらの努力により、中国はもちろん、欧米からの観光客を増加させ、2012年には50%を切っていた外国人の割合も2015年には、90%近くに達している。

 

販売ルートを確立した後には、それぞれの販売ルートに548質の部屋数を振り分ける。ホテルがwebサイトなどで直接売る直接販売分、ネット代理店経由で個人に販売するOTA分、旅行代理店に卸すBtoB旅行代理店分など、それぞれに配分する比率と価格を、平均して毎日6回、細かく調整し続けた。それにより、安値による即座の満室や高音による客室稼働率の低下を防いだ。

 

【得られる教訓】

  • 市場開拓するためにはまず、販売ルートを確立する。
  • 販売ルートそれぞれに営業担当をつける事により、密接な関係を作り、自社のプロダクトを優先してもらう。
  • 販売ルート確立後には、それぞれにプロダクトの振り分けを行う。
  • プロダクトの振り分けにおいては、比率と配分を常に調整する。

 

〜宿泊客の声に耳を傾け、即改善〜

新規顧客やリピーターの獲得のためには、顧客満足度の向上は欠かせない。オンライン旅行サイト「エクスペディア」などに書き込まれた宿泊客のコメントを「ボイスオブカスタマー」として編集し、各部門の責任者に毎月届け、改善を促した。サイトへの書き込みには、可能な限り当日中に返信する事をルール化した。そのために、特定のサイトに書き込みがあれば、責任者に連絡が届くシステムを構築した。即座の対応が評価され、ホテル紹介サイトなどでは、他のホテルに比べて、コメント数が桁違い。意見や希望に応えるホテルという評価が定着していると言える。東京オリンピックも近づく中、更なる訪日観光客の獲得に臨む。

 

【得られる教訓】

  • 新規顧客やリピーターの獲得のためには、顧客満足度の向上は欠かせない。
  • プロダクトへの評価をまとめ、責任者に定期的に届け、改善を促す。
  • 顧客の意見や要望には、当日中に対応。
  • 即時対応を促す、連絡システムを構築する。